小西正仁(以下、小西):本日は暑い中、お店までご足労いただいてありがとうございます。

三人:こちらこそ、いつもありがとうございます!

小西:まず最初に今年から我が『BESPOKE TAILOR DMG』が、ガンバ大阪さんのスーツパートナーをさせていただく縁に恵まれたことを、とても嬉しく思っています。実際、皆さんには今季の始めから『BESPOKE TAILOR DMG』のスーツをご着用いただいているかと思いますが、率直に着心地はいかがですか?

中澤聡太(以下、中澤):(お互いに顔を見合わせて、沈黙のあと…)何をやってんですか!ハシさん!そういう真面目な質問には、いつもハシさんが引き受けることになっているでしょう!

安田理大(以下、安田):ホンマや、頼みますよ、うちの数少ない頭脳派なんやから!

橋本英郎(以下、橋本):ああ、僕ね(笑)。すいません、つい、お店の洋服たちに気を取られてしまっていました。もちろん、着心地は最高ですよ。最高なんですけど…実は最近、上半身の筋トレをしているせいか、ちょっとジャケットがキツくなってきましたね。

安田:身体がよりパワーアップしているってことね?

中澤:いや、いや、それは違いますって、ハシさん。身体がパワーアップしているんじゃなくて、6戦連続ゴールからくる自信が胸のあたりの厚みを増しちゃっているんですって!
(編集部注:橋本選手はJ1リーグ・第15〜21節において、クラブタイ記録となるリーグ戦6戦連続ゴールを記録。)

安田:あ〜なるほどね。それは言えてるわ。31才にして6試合連続でゴールを決めれば、そりゃあ胸のあたりもどんどん張ってくるわ!でもそう言われると、僕も最近確かにジャケットが多少キツいような…。大した記録も作ってないはずやけど…。

橋本:ミチは今日、懸垂をやってたやん。完璧にその影響やわ(笑)。

中澤:(自分の胸元を叩きながら…)あれ?おかしいなぁ。僕はむしろ、ブカブカになってきてる!これはきっと、いつFWケネディ(名古屋グランパス)にやられるか…という恐怖心によるものに違いない!

安田:聡太くんは第20節・名古屋戦でケネディとのバトルを繰り広げたばかりやからね!まだ後遺症が残ってるんや(笑)。

中澤:残りまくりよ、マジで。僕も早くハシさんみたいに、ジャケットが窮屈になりたい…。

橋本:大丈夫、このスーツはオーダーメイドやから、ちゃんと身体にフィットするスーツを作ってくれるからさ!

中澤:ハシさん、微妙にフォローになってないし(笑)。

橋本:(笑)。でも実際、体型にあわせて作れるのがオーダーメイドスーツの醍醐味ですからね?小西さん?

小西:その通りですね。だからスポーツ選手のように一般の方より身体が大きかったり筋肉がついていたり、という体型の方にも、格好よくスーツを着ていただくことができる。実際、うちのスーツは一般の方以外にも、ミュージシャンや俳優さん、またアスリートの方にすごくたくさん着ていただいているんですよ。

安田:サッカー以外にはどんなアスリートの人がいるんですか?

小西:柔道の野村忠宏選手や水泳の北島康介選手、格闘技の秋山成勲選手や…他にもバレーボールや陸上、卓球や相撲など、ジャンルは幅広いです。

中澤:スポーツ選手は身体がゴツい人が多いから、普通のスーツではなかなか身体にぴったりくるものがないんでしょうね。実際、僕らもそうでしたけど、スーツを作る際は採寸して作るじゃないですか?スポーツ選手の身体って種目によっても全然違うんじゃないですか?

小西:一般の方と比べても筋肉のついているところが全然違うし、それは種目によっても異なりますね。さきほど、橋本選手が『筋トレをしてジャケットがきつくなってきた』とおっしゃっていましたが、トレーニングを変えることで身体が変わっていって、以前はあっていたはずのスーツがあわなくなる、という話はよく聞きますよ。

中澤:うん、分かる。届いたばかりの頃はちょうどいいな、と思って着ていても、時間が経つとある部分がキツく感じたり、ある部分に多少ゆとりが出てきたりしますから。

安田:今ここにいる3人を見比べても体型は全然違うけど、サッカー選手ならではの特徴とかってあるんですか?あと、『サッカー選手は足が短い!』みたいによく言われるけど、実際、採寸してみてどうですか?

小西:特に短くはないと思いますよ(笑)。おそらくサッカー選手の場合、ふくらはぎや太腿が太い分、足が短く見えるんじゃないかな。ただ、だいたいの選手が左右の足の長さが違っているのには驚きましたね。選手によっては左右2センチくらい違ったりもするし…もちろん、オーダーメイドの場合は、そこもしっかりあわせて作りますけど。あと、サッカー選手に共通する特徴なのが、太腿が太くて腰やヒップの辺がかなりしっかりしている、ということ。しかも筋トレをするせいか、1シーズンの間にも太腿の太さが2センチくらい変わる選手もいますからね。この2センチというのは、オーダーメイドでは1サイズ変わるということですから、そういう意味では着始めたばかりの頃はちょうど良かったのに、次第にキツく感じるようになったというのはあり得ることだと思います。また、ポジションごとに多少違いが見られるのもサッカー選手の特徴のような気がします。G大阪の選手なら、FWの選手は太腿は太いけど上半身はあまりゴツくない人が多いような気がするし、MFの選手は割と上半身と下半身のバランスがとれた体型の方が多い。DFは全体的に身体が大きいし、厚みがある人が多いように思います。

安田:確かにハシさんは、中盤らしいバランスのとれた身体をしてるよね?

中澤:うん、うん、平均的な一般男子って感じがする。私服のハシさんに街で会ったら、どこの大学生?!って感じだもんね(笑)。

小西:ただ、なぜか中盤はふくらはぎが太い人が多いんですよね。

中澤:出た、それ言っちゃいました?それ、間違いなくミョウさん(MF明神智和)のことだわ。でも…ヤットさん(MF遠藤保仁)は逆に細くない?

橋本:ってことは、ヤットはさぼってるってことか(笑)。あと…ふくらはぎと言えば、さとしさん(DF山口智)でしょ!あの太さは半端ない!

安田:ハシさん、さとしさんはDFです…。

橋本:あ…。

小西:(笑)。まぁ、そこは統計的にそうだ、という話で個人差は当然あると思いますよ。そういえば、先ほどポジションごとに体型が違うっていう話をしましたが、スーツを作る際は、体型だけではなく、年齢に応じても多少形を変えています。今、皆さんが着ているスーツは20代〜30代に向けて作っているパターンなのでシルエット的にも“ドロップ”と呼ばれる絞りがウエストに入っているんですが、年齢が高くなるほど、体型の問題からこのパターンが着こなせなくなりますからね。それを踏まえてクラブ幹部の方たちや、スタッフでも年齢が上の方たちのシルエットは多少変えて作っています。また、宇佐美(貴史)選手や大塚(翔平)選手ら、20才にもなっていない若い選手は、まだ身体ができきっていないですからね。皆さんが着ているパターンを使うとものすごくバランスが悪くなってしまう。だからこそ、ガンバさんだけで3つくらいパターンを考えて、体型や年齢に応じて多少変化をもたせるようにしているんですよ。

安田:貴史は僕らと何が違うんですか?

小西:まず上半身が極端に細いですね。下半身はしっかりしているし、ヒップも100センチ以上あるんだけど、バストが80センチ前後しかなくて、そこに20センチもの差が出てしまう。基本的にサッカー選手の平均はバスト95に対してヒップ100とかですから。それに照らし合わせて考えても、宇佐美選手はまだ子供の体型というか…上半身が出来上がっていないんだなという印象がある。もちろん、これは今後どんどん変わっていくと思います。人間の身体はだいたい18〜22才で完成するので。

橋本:じゃあ、大人の体型になるのは23才を超えてからになる、と。

小西:もちろん、個人差はあるけどだいたいそうですね。もちろん、これはサッカーをする上での身体が出来ている、いないの話ではなく、服を着る上での体型ということですよ。いわゆる、10代の選手はまだ子供の体型だということです。

橋本:西野朗監督はかなり身体を絞られていますけど、監督はスタッフ仕様と選手仕様と、どちらのスーツを着ているんですか?

小西:スタッフ仕様ですね。おっしゃるように西野監督はあの年齢の方にしてはかなり身体が絞れているけど、年齢的なものでシルエットの似合う、似合わないがありますから。

安田:そうやって細部まで配慮してもらっているから、スーツを着たらみんな格好良く見えるんでしょうね!実際、移動の時に全員が同じスーツを着て駅に立っていたら、周りの人が『なんや?!』っていう感じで振り向きますからね。

橋本:分かる。身体もみんなそれぞれそれなりに絞れているし、色は黒いし、みんな同じスーツを着てるし…しかもそのスーツが格好いいし…っていうのもあってか、一人でスーツを着ている時より断然、振り向かれる回数が多い。

中澤:そこは、しっかり『BESPOKE TAILOR DMG』のオーダーメイドスーツが僕らを引き立ててくれているんだと思いますよ。実際、同じスーツでも身体にあっていないブカブカのスーツを着ていたらそんなに格好良くは見えないと思うし。僕だって、場合によっては、自分がスーツを着ているというより、完全にスーツに着られている時がありますからね。

小西:この3人の中でも中澤選手は体型的に作るのが難しい方ですね。背もあるし、身体も細いけど、肩幅があるから。

安田:あ〜肩幅があって、胴は長いけど、足が短いってことか…。

中澤:おいおい、そこまで言ってねぇだろっ!!

安田:そうか、そうか、要はダックスフンドと人間のハーフっていうことなんですね?

小西:(笑)。要は肩幅が広くて身体の線が細い分、肩幅にあわせてジャケットを着ると全然、シルエットがきれいに出なくなってしまう。あと、身長が高いので着丈のバランスもかなり難しいんですよ。そういう意味ではガンバさんの中でもスーツを作るのが難しい人ランキングのトップ3に入っていると思います。

橋本:聡太は背もあるし、モデル体型っぽい気もするから、何を着ても決まりそうな気がするけど、いろいろあるんですね。

小西:モデルさんって、ああ見えてそんなに細くなくて、意外と身体はしっかりしているんですよね。だから中澤選手はまたモデル体型とも違うというか…。

安田:まぁ、モデルはこんなに足が短くないしな…。

橋本:ダックスフンドと人間のハーフでもないしな…。

中澤:なんで僕は、いつの間にか犬になっちゃってんの?おかしくない?

小西:(笑)。スーツで一番難しいのって肩なんですよね。そこを基準にシルエットを考えますから。そういう意味では山口選手も難しいですね。身長はそこまで高くはないけど、身体がすごくしっかりしているし、肩幅もあるので。

橋本:じゃあ、ガンバの選手の中で一番スーツを作りやすい体型の人って誰なんですか?

安田:総合すると、ダックスフンドではないから(笑)、僕やハシさん、あとミョウさんも作りやすそうな気がするなぁ。

中澤:ミョウさんは違うだろっ。そもそも、ミョウさんはあんなに黒いんだよ。それでいいのかっていう問題がある…。

安田:そこ、関係ないし。加地(亮)さんは?

中澤:ダメだって、あんな筋肉隆々男は。

安田:ヤットさんは?ちょっとメタボな感じもするけど(笑)、ヤットさんのスーツ姿、僕は結構格好いいなって思うで。

小西:確かに日本人の男性モデルの平均は178〜180センチくらいで、70キロ前後の人が多いから、そういう意味では遠藤選手はモデル体型に近いかも知れないですね。ちなみに、安田選手の体型って身体に厚みがあって丸めでしょ?そういう人の方が空間を作りやすい分、スーツは作りやすいんです。例えばバストが100センチでも、藤ヶ谷(陽介)選手のように幅があるタイプと、安田選手のように厚みのあるタイプがいるんだけど、この2つなら断然、後者が作りやすいですから。

安田:ただ、僕の場合スーツを着る時に1つ悩みがあるんですよ。と言うのも僕の場合、首が短いからスーツが似合わないような気がするんです。肩も盛り上がっている感じやし…どうしたらいいですか?

小西:そこは襟の形とか、あきの広さ、ポケットの形や角度でうまくごまかせるというか、着こなせると思いますけどね。実際、同じスーツを着ても人によって似合う、似合わないがあるのは、頭の大きさや首の長さ、顔の形などが違うからで…。そこは体型に応じて、自分に似合う襟の形や幅、胸のあきの広さを見つけたらいいと思います。実際、ガンバさんに提供させていただいているスーツも、ちゃんとそのへんまで計算して作っていますからご安心ください。っていうか、それこそがオーダーメイドスーツの醍醐味ですから。

中澤:へえ〜っ。マジで?!話を聞いていると、ますますオーダーメイドスーツの良さが分かってきました。実際、さっきも言ったけど、身体にフィットしていないスーツを着てもどこか格好よく決まらないですからね!そういう意味では『BESPOKE TAILOR DMG』のスーツは、ちゃんと採寸して作ってもらっている分、他に着ているスーツに比べても、着心地がいいし、自分で言うのもなんだけど格好よく着こなせているような気がする。

橋本:分かる。だって、普通にお店でスーツを買う時って、太腿にあわせるとウエストが大きいっていう現象がよく起きるし。ミチはどっちかというと太腿が太い方やと思うけど、そういう経験ない?

安田:ある、ある。だから基本的に僕は普段もジーパンとか殆ど履かへんからね。座った時にパツパツになって足が苦しいから。でも、オーダーメイドスーツではそういった悩みが解消される。しかも、基本、身体にあわせて作っているから、ちょうどいいピチピチ感があるしね。最高ですよ。聡太くんは基本的に背も高いし、あまり太くもないからそんな悩みは分からんやろ?

中澤:確かに、そういうサイズ的なことで困ったことはそんなにないかなぁ。それでも、やっぱりフィット感とか、着心地という店では断然、オーダーメイドに負けますよ。だからこそ、実際にこのチームスーツ以外に、プライベートのスーツを本気で作ってもらおうと計画中なので…よろしくお願いします、小西さん。

小西:お任せください。

中澤:だってオーダーメイドなら生地から選べるし、自分の体型にだけあわせて作るものだから、世界に一着の自分だけのスーツっていうことじゃないですか!それも惹かれるポイントの1つです。

小西:そう言っていただけると嬉しいですね。これまでにオーダーメイドでスーツを作ったことってありましたか?

安田:僕はないです。だって、トップチームに上がった年からスーツスポンサーがついていたので、スーツと言えばチームスーツ、みたいな感じで、自分でスーツを作る必要がなかったから。だからオーダーメイドスーツもそのときに初体験でしたけど、実際に作ってみて初めて、よく服の好きな人がオーダーメイドスーツに拘る意味が分かるようになりましたね。さっき、聡太くんも言っていたけど、身体にあったスーツを着ることによって、自分をより格好良く魅せてくれるような気がするしね。

中澤:大丈夫だって、ミチは何を着ても格好いいって…(と、遠い方向を見る…)。

安田:目が泳いでるやん!

中澤:あ、バレた(笑)?

橋本:そうかぁ、ミチがトップに上がった年からスーツスポンサーがつくようになったんやね。確かに僕らが若い頃は、スーツスポンサーなんてついてなかったもんなぁ。05年にJ1リーグで初優勝したあたりから徐々にチームが強くなり始めた中で、そういうサポートをしてもらえるようになったけど、そう考えると現状に甘んじず、強いチームで居続けないとあかんなって思うよね。

中澤:さすが、ハシさん。言うことが違うわ!


text by misa takamura

人物撮影 フォトグラファー 竹田俊吾

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対談その2へ続く